ヘアカラーやパーマ、縮毛矯正の持ちを良くしてダメージを極力抑えるためには?ってお話
目次
お客様からよく聞くカラーの色落ちが早いのはなぜ?
最近の流行りのカラー、イルミナカラーだったり、スロウカラーだったり、アディクシーカラーだったりと、各メーカーさんがこぞって新色を発売して、僕ら美容師もお客様も今まで以上にヘアカラーを楽しめる時代になりました。
今はグレージュやアッシュなどのいわゆる欧米人風カラーが流行っておりますが、またオレンジやカッパーなどが増えてくる予感もしております。
色が綺麗に鮮やかにツヤツヤにツルツルに染まってくれるリスクとして、
色落ちが早い
という声をよく耳にします。染める前の髪の明るさや求める色の明るさや彩度にもよりますが、持って1ヶ月、早ければ2〜3週間で色落ちしたというお客様がここ最近多い訳です。
では何故にそんなに色落ちが早いのか??ここ最近私が感じるには
①アイロンを使ったヘアスタイルが増えた
・ストレートアイロンで作る毛先ワンカールボブスタイル
・縮毛矯正をかけずにセルフでストレートアイロンを使ってクセを伸ばしているボブスタイル
・コテで作る毛先外ハネの波ウェーブボブ
・コテで作る内巻き外巻き混ぜたミックス巻きミディアム、ロングスタイル
などなど。
カラーリングの色味で言えば、アッシュやグレージュなどの青系カラーは染料の分子量が大きいため、髪の表面に付着して発色します。そのために髪表面にアイロンの熱が加わると色落ちが早くなるわけです。
②ノンシリコンシャンプーが増えて髪内部の色味が抜けやすくなった
オーガニックという言葉がここ数年流行り、それに付随する商品や食品が世の中にワンサカと増えてきています。ヘアケア剤もノンシリコンシャンプーが増えました。そして赤系カラーの染料は分子量が小さく髪内部で発色します。そのため洗浄力(界面活性剤が多め)が強めのシャンプーで洗うと色味が落ちやすくなります。
ただそもそもシャンプーは汚れを落とすためのものなので、ノンシリコンシャンプーは髪質に合っていればありですね。
色味別で言えばこの辺りが妥当に感じます。あとは希望の色味にブラウンを配合してあげると色持ちが良くなります。
そして一番大切に感じる行程が
アルカリやジアミン除去と過酸化水素除去とphを弱酸性に戻す
カラー剤を髪に塗って20分〜30分くらい経ったらだいたいシャンプーに入りますが、シャンプー前にヘマチンを塗布して、完全発色させてからシャンプー台で乳化をしっかりしてphを若干下げます。もしサロンに炭酸泉があれば尚更のこと良いです。炭酸泉のphは弱酸性領域なので髪のphを等電点の4.5〜5位に戻してくれて、アルカリも除去してくれます。
そしてシャンプーに入る。この行程を行った上で、シャンプー後のアシッド剤によるphを弱酸性の4.5〜5.5領域に戻し、ヘマチンを再塗布して過酸化水素を除去する。
そしてシステムトリートメントを行う前にもう一度、アシッド剤でph調整する。
この行程をしっかりやるか否かでカラーリングの色持ちや、後々の髪のコンディションが変わってきます。
お客様からよく聞くパーマの持ちが悪いのはなぜ?
久々にパーマをかけたんですが、翌日には落ちてましたとよく聞くお客様の声。
なぜ落ちたの?
何故ならそもそもパーマがかかってなかっただけです。
美容室でありがちな、お家ではスタイリングできないけど、美容師さんがヘアサロンでスタイリングするとパーマが出る。
ありありです、私ら美容師はある意味プロなので。
そして、ある程度は理想のヘアスタイルにスタイリングするにはお家でのお客様自身によるスタイリングテクニックも必要不可欠です。
そして髪のお手入れに関して言えば、例えると風邪をひいて病院に行き、処方箋を貰い、毎日風邪薬を飲む、睡眠を充分にとり、栄養のある食事を摂取する。
髪に置き換えれば、
・就寝前はドライヤーで髪を乾かして、キューティクルを閉じる。
・寝る時は髪を縛ってお団子にして、自分の背中や頭による摩擦から髪を守って寝る。
・髪が濡れた状態では櫛やブラシで髪をしごくようにとかさない。
・シャンプーした後のすすぎはシャンプーの倍の時間を費やす。
・安易な安いシャンプー剤を使わない。
・適度な運動をして、体内の血行促進する。
・卵や納豆、豆腐やアーモンド、トマトなど髪の形成に欠かせない食品を摂取する。
上げたらキリが無いですか、要は
ご自身の努力
も綺麗には欠かせません。
お話を戻して、パーマの持ちを良くしたければ、美容室でオーダーする際は
ダブルクリープパーマかデジタルパーマかエアウェーブでやり、中間、後処理もしっかりして下さい。
とオーダーしてみて下さい。
担当美容師さんはギョッとするかもしれないですが、本当のところです。自分がもしお客様に言われたら冷汗ものですけどね 笑。
そしてカラーリングの際とも似ますが、
アルカリや還元剤、過酸化水素除去、ブロム酸除去、phを弱酸性に戻す
といった処置が必要不可欠になってきます。
特に薬剤だけでかけるコールドパーマに使う2回目の薬、ブロム酸は中性〜弱酸性領域で活性化するので、中間水洗をしっかり行ってからの塗布が必要不可欠です。
そしてデジタルパーマに使う2回目の薬、過酸化水素はph8位のアルカリ性領域で活性化するため、熱処理前に中間水洗してある程度phを下げておく必要があります。
そしてなによりもパーマ剤に含まれる還元剤により髪内部で発生するミックスジスルフィドという物質が髪に残ったままになると、パーマの持ちが悪くなったり、髪の傷みに繋がってしまいます。パーマかけた直後にお家のお風呂で髪を濡らした時にするツーンとした匂いがするのがコレ。コイツをいかに髪に残さずにパーマをかけるかでその後のパーマ具合が変わってきます。
カラーリング同様、パーマ施術の際にもこの処理をしっかりするかしないかでパーマのかかり具合と髪のコンディションが変わってきます。
お客様からよく聞く縮毛矯正かけると毛先がツンツンになるのはなぜ?
ここ近年、髪の癖やウネリを感じている方が非常に増えた感じがします。
元々の生まれ持った遺伝によるクセ
加齢によるクセ
髪の傷みによるクセ
など様々なケースのクセ毛の方が増えました。
そして最近では髪質改善といったフレーズをよく耳にするようになり、クセでお悩みの方にはいい時代になってきているのではないでしょうか?
さて話を戻して縮毛矯正と聞くとあまりいいイメージを持たれていない方もたくさんいます。かけたら
毛先がツンツンになるんじゃ?
髪が傷んでパーマとかかけられなくなるんじゃ?
髪のボリュームなくなりすぎて顔がおっきく見えるんじゃ?
などなど思われている方も多いかと思いますが、結果的には担当してくれる美容師さんの
腕前次第
でございます。そしてこの技術は薬剤と高温の熱を加える施術になるので、ハッキリ言ってダメージになるのは明らかです。
よくダメージレスとかノンダメージとかいったフレーズを目にしますが、
還元剤と熱を加えることで髪を傷めない訳はないです!
目の前にある素材を見極めて、極力髪に負担をかけずに髪のクセやうねり、傷みによる膨張を緩和して扱いやすくまとまりをよくしていくかが重要です。
最近では縮毛矯正専門店サロンも増えてきていますが、こういったサロンの美容師さんは頼りになる存在かもしれません。
還元剤には主に
チオグリコール酸、システイン、サルファイト、システアミン、チオグリセリン、ラクトンチオール、スピエラ、GMTなど様々な薬剤がありますが、この薬剤を髪の状態に合わせてどう使いこなすか?
どれくらいの割合でミックスするか?
どれくらいの塗布量にするか?
どれくらいの時間を置くか?
どれくらいの塗り分けをするか?
この見極めを的確にできる美容師さんは本当のプロフェッショナルでしょう。
この還元剤って薬が最適に髪に作用する時間帯が極めて短めなんです。そのタイミングで薬剤を流すことがベストであり、ここを見極められることがダメージ少なく髪を自然にストレートに仕上げられることに繋がります。
そしてカラーリングやパーマ同様に
アルカリ剤や還元剤(ミックスジスルフィド)や過酸化水素の除去、phを弱酸性に戻す
ことが後々の髪のコンディションに関わってきます。
まとめ
ちょっとマニアックに書き上げましたが、そもそも体の具合が悪いときに病院に行き、お医者さんが施す医療と使用する薬品、そしてお家に帰ってからのホームケア的な調剤薬局で処方されるお薬。
この薬品に対しての副作用をどれだけ抑えて美容師が髪に向き合うか?
美容師にも通ずる部分であります。
これがお客様の体の一部である髪に対してのリスペクトであり、痛みを抑えて施術することに繋がっています。
美容師的な感覚だけではクリアできない課題であり、ケミカル知識が必要なのです。
ただ毛髪自体がそもそも死滅細胞なので、いくら痛もうが体は痛くも痒くもないのです。ただ髪はバサバサして、広がり、パサつき、ゴワつき、毛先が跳ねますが…。
僕ら美容師がもっともっとお勉強して、お客様の髪を少しでも綺麗にするために知識と経験と技術を提供する。
その対価として頂く料金。
時にはお客様の要望には1度には答えられない場合も多々あります。
時にはお客様のやりたいヘアスタイルをお断りする場合もあります。
何故なら、
あなたの髪を少しでも綺麗に保ち、いつまでも若々しく綺麗でいてもらいたいため!
こんな想いを思いながら仕事をしてます。
全てはあなたの綺麗のために
Comme moi
自分らしく、私らしく、いつまでも綺麗であるために
最後までお読みいただきありがとうございました。
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